ヘンダーソンの看護理論

ヘンダーソンの看護理論は、マズロー心理学の影響を受けているとよく言われます。マズローは、人間を欲求(ニード)の階層でできたピラミッドとみなしました。
それは、下から、Ⅰ生理的欲求、Ⅱ安全の欲求、Ⅲ所属と愛情の欲求、Ⅳ自尊の欲求、Ⅴ自己実現の欲求というぐわいに、積み上げられています。
建物の土台がくずれるとその上の部分もくずれてしまうように、人間も下のある土台の欲求が満たされないとその上の欲求は後回しにされます。下の欲求がある程度満たされて、はじめてその上の欲求を充足することができるようになります。
ここで、ヘンダーソンの14の基本ニードと、マズローの基本的ニードを比べてみましょう。
①正常な呼吸、②飲食、③排泄、④移動と体位の保持、⑤睡眠と休息、⑥脱衣と着衣、⑦体温の保持、⑧清潔な皮膚、は、Ⅰ生理的欲求にあたるでしょう。⑩コミュニケーション、⑪宗教は、まあⅢ所属と愛の欲求に、⑫仕事は、ちょっと苦しいけど、Ⅴ自己実現の欲求に、なんとか対応させることができるでしょう。
こうしてみると、ヘンダーソンの基本的ニードがかなり生理的な欲求にかたよっており、しかも具体的で細かいことがわかります。この生理的欲求の内容をヘンダーソンはどこで見つけたのでしょうか。
ヘンダーソンはすぐれた実践家でしたから、実際の看護経験から、見つけ出した、と答えることもできるでしょう。しかし、ここでナイチンゲールの『看護覚え書き』の目次を見てみましょう。「1換気と保温、2住居の健康、3章管理、4物音、5変化、6食事、7食べ物、8ベットと寝具類、9陽光、10部屋と壁の清潔、11からだの清潔、12おせっかいな励ましと忠告、13病人の観察」
ヘンダーソンが挙げたニードの多くが、ここですでに挙げられています。じつは、ヘンダーソンの看護理論は、ニード論をつかって、ナイチンゲールの看護論を継承したもの、といえるのです。

参考文献:勝又正直 著 『はじめての看護理論』 医学書院
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by takumi429 | 2009-01-04 18:08 | 看護理論 | Comments(0)
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