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ナイチンゲール2

ナイチンゲール2
ナイチンゲールは言います。「看護婦が学ぶべきAは、病気の人間とはどういう存在であるかを知ることである。Bは、病気の人間に対してどのように行動すべきかを知ることである。Cは、自分の患者は病気の人間であった動物ではないということをわきまえるべきである」(『看護覚え書き』「補章」)。言いかえれば、看護婦は、人間とはどんな存在であり(C)、それがどうなると病人となるのか(A)、そして、その病気の人間に対してどう看護すべきか(B)を学ぶべきだ、ということになります。
ナイチンゲール以降の看護理論は、この(A)人間、(B)病人、(C)看護を軸に整理することができます。

理論家  ヘンダーソン
人間   ニード(欲求)をもつ存在
病人   ニード充足が充分にできなくなった人間
看護   ニードの充足を助ける

理論家 オレム
人間   セルフケアする存在
病人   セルフケアできなくなった人間
看護   セルフケアの不足を補う

理論家 ロイ
人間  環境に適応して自己を維持する存在
病人  環境への適応が不充分になって自己維持が危うくなっている人間
看護  環境への適応を援助する

理論家 ロジャーズ
人間  環境と相互作用しつつ発展する統一体
病人  (環境との相互作用が充分できなくなっている統一体)
看護  (環境との相互作用を援助して本来の発展をとりもださせる)

理論家 ペプロウ
人間  (生理的・心理的な)ニードをもつ存在
病人  ニード充足が不充分な人間
看護  病人が求めている(病人の状態によって異なる)役割を演じて世話(ケア)する

理論家 トラベルビー
人間  意味付与する存在
病人  (病い)の意味の欠如に苦しむ人間
看護  病人の病いへの意味付与を援助する

理論家 レイニンガー
人間  固有の文化の中で生きている存在
病人  文化のなかで病む人間(疾患の人間でなく病気の人間)
看護  病人の固有文化を理解して世話(ケア)する

理論家 ベナー
人間  気づかいつつ、意味の世界に住む存在
病人  病いのために壊れた意味の世界に住む人間
看護  病人の意味世界の再建を、気づかい(ケア)によって援助する臨床実践

( )内は私の推測・補足

ではこれらの理論家をこれからみていくことにしましょう。

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参考文献:勝又正直 著『はじめての看護理論』医学書院

(『プチナース』2007年6月号掲載)
by takumi429 | 2008-01-27 17:16 | 看護理論
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