<   2011年 08月 ( 4 )   > この月の画像一覧

(15)現代のカリスマ 井上雅彦

15.現代のカリスマ 井上雅彦
圧倒的な画力とストーリーの展開。
回想シーンの凄烈な美しさ。

『スラムダンク』
c0046749_213135.jpg

主人公の成長に合わせたかように絵がうまくなっていった。
バスケットの試合のが競技者にしかわからない展開が緻密かつダイナミックに描かれた。
空前の大ヒット。バスケット・ブームをもたらした。

『バガボンド』
c0046749_2115955.jpg

原作 吉川英治『宮本武蔵』
比較してみよう。
「一乗寺の決闘」の段を
(1)原作の徳川夢声の朗読
c0046749_295174.jpg

(2)内田吐夢の映画『宮本武蔵 一乗寺の決斗』(1964年)
c0046749_2113292.jpg

(3)『バガボンド』の一乗寺の決闘シーン
c0046749_2105842.jpg

(1)言葉の弾む調子、駆け抜けるような軽快さ
(2)カラー映画のなかであえて白黒にし、泥田をはいずり回らせる。
(3)筆による描写が、泥と血糊の描きかたとパラレルになっている。
  黒沢明の『七人の侍』のクライマックスの雨中の決闘シーンにむしろ近い。
c0046749_2153535.jpg

原作との比較
佐々木小次郎が宮本武蔵と同じくらいに人物としてふくらまされている。
聾者として剣豪に拾われそだつ小次郎。
小次郎の人物造形の不十分さは吉川原作の数少ない欠点だったのでは、と思わせるほどの、豊かで鮮烈な人物造形となっている。

『リアル』
c0046749_2134152.jpg

障害者バスケットを描く。
『バガボンド』にもみられる、回想シーン。その凄烈さ、透明さ。
[PR]
by takumi429 | 2011-08-05 01:38 | マンガ論 | Comments(0)

(14)ストーリーテーラーたち

ストリーテラーたち 
浦沢直樹、諸星大二郎、星野之宣、弘兼憲史、本宮ひろ志、さそうあきら 

比較検討
手塚治虫『鉄腕アトム』「地上最大のロボット」
c0046749_2303585.jpg

浦沢直樹『Pluto』 (「地上最大のロボット」を原案にしている)
脇役にすぎなかったゲジヒトがふくらませられ、主人公となっている。
ゲジヒトの消去された記憶の断片
フラッシュバックによる記憶の断片の想起。
c0046749_2304820.jpg


自分を捨てた母の歌の断片にもがく老音楽家と、その母の真意を探り音楽家を救うノース2号(殺人ロボット)
c0046749_237301.jpg

「記憶」をめぐる話が織り込まれている。
c0046749_231076.jpg

[PR]
by takumi429 | 2011-08-03 02:31 | マンガ論 | Comments(0)

(13) J コミック 

(13) J コミック 
岡崎京子
大胆な性描写の向こうに、セックスでも消費でも決して癒えぬことのない、凶暴な傷をかかえた、したたかに見えて、じつは傷つきやすくもろい少女と少年たち、を描ききった。今、ここに生きている、ぼくら/私たちが、ここに、ある。
『Pink』 ワニを飼う売春少女
c0046749_25593.jpg

『リバーズ・エッジ』 汚れた河口ぞいの高校に通う少年少女。川岸に放置された遺体を宝物にする少年と少女。
「そして惨劇が起きる。平坦な戦場で彼らが生き延びること。」(ノート あとがきにかえて)。もっとも先鋭的な文学の試みがここにはある。
c0046749_252713.jpg

c0046749_274184.jpg


よしもとよしとも
『青い車』 事故で恋人を失った少女と、その恋人の弟。
c0046749_2132938.jpg


望月峯太郎
『バタアシ金魚』熱血純情水泳部マンガ
c0046749_2253284.png

『ドラゴン・ヘッド』 世界終末パニック・マンガ
c0046749_2254644.jpg

『万祝』 海洋冒険マンガ
c0046749_226484.jpg


松本大洋
現代の絵師。二人の男の友情と挫折と克服。
『花男』 野球狂の父とそこに引き取られたひ弱で頭でっかちな息子とが繰り広げるひと夏の奇跡。
c0046749_241727.jpg

『ピンポン』 天才ピンポン少年の挫折とその天才をよみがえらせる幼なじみ。
c0046749_2414686.jpg

『竹光侍』 狂気をかかえあえて剣を捨てて竹光を持つ青年と彼を襲う刺客との壮絶な戦い。
c0046749_242556.jpg


浅野いにお 現代の力無い絶望のなかでひたむきに生きていく若者たち。
『すばらしき世界』 ぼくたちの生きているこの世界は美しくもなければすばらしくもない。だけど、そんな世界でぼくたちは生きていくしかない、そう生きていくのだ。そしてぼくたちが生きていくならば、それはきっとすばらしい世界なんだ。
c0046749_249323.jpg


『ソラニン』 会社を辞めてロック・バンドを結成した青年。死んだその青年が残した曲を演奏する恋人。しかしそれは大ヒットするわけではない。たやすい成功も夢の実現もない、それが主人公たちの生きている世界だ。
c0046749_2534976.jpg

[PR]
by takumi429 | 2011-08-02 02:05 | マンガ論 | Comments(0)

(12) 描けるんです! マンガの匠たち

高野文子
『絶対安全カミソリ』
作品ごとに絵柄を変えてかき分ける驚異的な画力・構成力・演出力
c0046749_14375511.jpg

c0046749_14381338.gif

「たなべのつる」痴呆老女を少女として描く(痴呆の綿の国星?)
c0046749_14391436.jpg

『お友達』
c0046749_14404795.jpg


























『るきさん』
c0046749_14401076.jpg


『黄色い本 ジャック・チボーという名の友人』
マンガの中で主人公の少女の『チボー家の人々』の読書を追体験させる。
文学とマンガというメディアの交差の向こうに見えるのは、亡霊のような、老いることのない小説の登場人物たちと、それを読んでいた華やぎこそないがひたむきで確かに輝いていた一人の少女の時間と時代である。
c0046749_1442821.jpg

c0046749_1443291.jpg

高橋留美子 
画面展開のテンポの良さ、巧みなキャラクター形成、少女マンガに学んだコマの巧みさ、卓越したストーリー展開。とにかくうまい。各国に翻訳され今や世界的マンガ作家。
『うる星やつら』
c0046749_14445139.jpg

『めぞん一刻』
c0046749_14455552.jpg

同一の紙面に、向き合った二人の顔を描く、みごとなコマ処理。
『人魚の森』・『人魚の傷』
(人魚の森シリーズ。人魚の肉を食べたことで不老不死となった男女が永遠の時をさまよう。
c0046749_14453255.jpg

これって『ポーの一族』へのオマージュ(敬意を込めたパクリ)?
『犬夜叉』
c0046749_14461632.jpg
半妖(犬夜叉)と巫女の末裔の少女との恋と冒険
「炎トリッパー」(炎に巻き込まれ戦国時代にタイムトリップする女子高生)と『人魚の森』の残酷なラブストーリーとを合体させてできあがった長編妖怪SFゴチックロマン(長い!)・マンガ。










ゴシックロマンとは18世紀末から19世紀初頭にかけて流行した中世趣味による神秘的、幻想的な小説。代表作『オトラント城奇譚』・『フランケンシュタイン』・『ドラキュラ』、エドガーアラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」もこの系譜にあたる。
c0046749_14471076.jpg

「アッシャー家の崩壊」さし絵

鳥山アキラ
卓越したデザイン的描写。
『ドクター・スランプ』
c0046749_14463738.jpg

椰子の木が生えるカルフォルニア的な村(知多半島の町?)が舞台。
すでに背景世界(世界観)が完成している。
『ドラゴン・ボール』
c0046749_14474247.jpg


ドクタースランプの背景世界のなかで、宇宙人によるロール・プレイング・ゲーム。
主人公のライフ・レベルがついに加速度的に増大。

谷口ジロー
メビィウスの影響を受けた白い精緻な画面。
『坊ちゃんの時代』関川夏央原作
c0046749_1448644.jpg

明治の文壇を舞台にした『坂の上の雲』。
伊藤整の『日本文壇史』を思わせる文学者たちの交流。
明治がもっていた夢と挫折。
『神々の山嶺』夢枕獏原作
c0046749_1448227.jpg

山岳マンガの極北。2005年アングレーム国際漫画祭 最優秀美術賞

『遙かなる町へ』オリジナル作品
2002年アングレーム国際漫画祭 最優秀脚本賞・優秀書店賞受賞。
c0046749_14484274.jpg

c0046749_1449355.jpg


『孤独のグルメ』
c0046749_14492119.jpg

[PR]
by takumi429 | 2011-08-01 13:56 | マンガ論 | Comments(0)