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5.アルプスの少女ハイジ

アルプスの少女ハイジ 1974年放送
監督:高畑勲
場面設定・画面構成:宮崎駿
キャラクターデザイン・作画監督:小田部羊一
音楽:渡辺岳夫
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原作 ヨハンナ・シュプリ『ハイディ』
3週間にわたる初の現地取材
ペーターとハイジのダンスは高畑勲と宮崎駿がダンスしてみせたのを原画におこしたものとのこと。

レイアウト(場面設定・画面構成)システムのはじまり
レイアウトとは、一枚の紙に、背景とキャラクターの位置関係、動きの指示、カメラワークの有無やそのスピード、撮影処理など、そのカットで表現される全てが描かれた映画の設計図とも言えるもの。
それまでの、絵コンテ→背景画・原画、の制作にたいして、絵コンテ+レイアウト→背景・原画という工程にした。

場面設定
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レイアウト
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(『BSアニメ夜話07アルプスの少女ハイジ』(キネマ旬報社2008年)56ー7頁)

人物たちが動く背景世界が整合したきっちりとしたものになる。
整合性のある統一的な背景世界のことをアニメ・オタクたちは「世界観」と呼んでいる。

原作と比較して
あきらかな改変は、原作ではクララの車いすをこわしたのはペーターだが、アニメでは車いすが自然と下に落ちていってこわれたことになっている。1年間観客につきあってもらうことになるペーターを悪役にできなかった。原作では、ペーターは文明化されていない粗野な牧人の少年。ハイジによって啓蒙される対象。アニメでは純朴な少年である。
またクララがいったん歩けたのだけど、その後、なかなか歩けるようにならず葛藤するという話もアニメでの創作で、また物語の味わいを深くしている。

原作ではクララによい乳を飲ますために山羊に良い草を食べさせる、のだが、アニメでは、やせて乳のでの悪く飼い主が「つぶす」(屠殺)を考えている「ユキちゃん」(ユキのような白いやぎ)に、よく乳が良く出るようにするために、おじいさんの助言にしたがって必死に良い草をたべさせようとする、という話になっている。
原作にあるキリスト教の教え諭す内容(たとえば放蕩息子の帰還)は削られ、アルプスの自然のすばらしさとハイジという少女のもつ輝きが人々をこころのこわばりを溶かしていくという内容が展開されることになった。
むしろ原作のもっていた豊かさをこのアニメがひきだし展開したといえる。アニメ『アルプスの少女ハイジ』があったからこそ、この有名な割に忘れられかけた作品のもつすばらしさが理解されるようになったというべき。
宇宙船も戦争も事件らしい事件もない、それでいてけっして緊張がとだえることがないドラマ。何気ない日常こそが緊張と喜びと悲しみに満ちた現場なのだということを感じさせてくれる巧みなドラマ構成。

宮崎駿、自身も、『岩波少年文庫50冊』の中でこう書いている。
「ぼくらがまだ若くて、たぶんあなたが生まれるずっと前に、ぼくらはこの本を原作にして、52本のテレビアニメを作りました。ぼくらの先頭にいたのは、ひとりの若い演出家でした。もちろん今はおじいさんになっていますが、その人が有名なわりにあまり読まれなくなっていた原作に新しい生命をふきこんだのです。アニメより原作を本で読んだ方がいいという人がいます。ぼくも半分位そう思っていますが、この作品はちがうと思っています。見、読みくらべてみて下さい。ぼくらはいい仕事をしたと、今でも誇りに思っています。」(75頁)

音楽 ライトモチーフ(特定の人物や状況などと結びつけられ、繰り返し使われる短い主題や動機)をつかっている。フランクフルトにいるときも音楽によってハイジがアルプスの山をおもっていることがわかる。
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by takumi429 | 2011-10-29 06:51 | アニメ論 | Comments(0)

3.手塚プロ『どろろ』と松本零士『宇宙戦艦ヤマト』・『銀河鉄道999』

3.
手塚プロ『どろろ』(1969年)
父の野望のために妖怪に身体の48カ所を捧げられ、片輪として生まれた百鬼丸は、妖怪を一匹一匹殺すことで、自分の身体を取り戻す。連れの少年(実は少女)の、どろろ、はじつは百鬼丸の身体の部分を集めて作られてできた子どもであり、彼(女)を殺せば、身体がもとに戻ると知らされても、百鬼丸はどろろを殺さず、妖怪退治を続ける。(身体の不足部分を器具によって補い人間の形をしている百鬼丸と、身体のパーツの寄せ集めである、どろろ、は、のちの手塚の『ブラックジャック』のピノコ(畸形嚢腫」で、双子の姉の体のこぶ(畸形嚢腫)の中に脳や手足、内臓等がばらばらに収まった状態であったものを、ブラックジャックが取りだし、器具をつけて人間のかたちにしている少女)を思わせる。
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国芳の妖怪
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百鬼丸がたたかう妖怪
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『宇宙戦艦ヤマト』(1977年)
実在の戦艦大和の被爆画像
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攻撃を受けるヤマト
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船長の最後の言葉「地球か、何もかもが懐かしい」
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『銀河鉄道999』(1979年)
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by takumi429 | 2011-10-06 21:38 | アニメ論 | Comments(0)