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2映画分析入門(つづき4)

2映画分析入門(8)

映画のスタイル
古典的:明快なお話語り
リアリスト:人物像の探求や生活の把握を志向。
フォルマリスト:表現の仕方に注目させる。
 
リアリスト的映画スタイルの例
『ウンベルトD』Umbert D.(Vittorio De Sica1952)
女中の朝のコーヒーの支度の様子を長々と描く。
イタリア・ネオリアリズム

フォルマリスト的映画スタイルの例
『脳内ニューヨーク』Synedoche, New York (Charlie Kaufman 2008)

映画の意味についての情報を提示するものには、
(1)記述的なもの(あらすじなど)
(2)解釈的なもの
(3)評価的なもの
がある。
分析や記述がなくて評価だけしても説得的ではない。

映画について書こうとするとより映画が深くみることができるのでおすすめ。
ただし最低2回を観てから書くこと。
あらすじも書けないであれこれコメントするなど、論外。
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by takumi429 | 2012-04-25 03:59 | 映画論 | Comments(0)

2 映画分析入門(つづき3)

2 映画分析入門(7)http://youtu.be/8egldd8SziE

ほかの映画への言及(間テキスト的言及)

ラン・ローラ・ランRun Lora Run (Tom Tykwer 1999)
のなかの、
ヒットコックの『めまい』Vertigo (Hitchcok 1958)への言及

ブロンドのアップした巻き髪の女

この言及は単なる言及のとどまらず、
映画の構造の類似性を示している。

『めまい』 主人公は愛する女の転落を目撃した後、ふたたびその再現のような愛する女の転落を目撃する。話をまき直して2度起きる。

『ラン・ローラ・ラン』では、薬の売買の大金をなくした恋人にローラがなんとか金を工面しようとするが、①恋人は強盗をして失敗。再度、話がもどってやり直し、しかし②救急車にひかれて死ぬ。再度話をもどしてやり直し。③カジノで大金を得て大団円。
話を3回まき直してやり直す。

巻き髪と年輪はフイルムのメタファー
(年輪のメタファーは『ラ・ジュテ』で用いられる)。
時間の再帰的構造はフイルムに納められた時間の性格である。
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by takumi429 | 2012-04-23 12:50 | 映画論 | Comments(0)

2 映画分析入門(つづき2)

2.5 映画分析入門(6)http://youtu.be/-iK6xI6-lvQ


映画の向こう側の世界への言及

風と共に去りぬGone with the Wind (Victor Fleming 1939)
南北戦争 シャーマン将軍によるアトランタ焼き払い(焦土作戦)への言及

コールドマウンテンCold Maountain (Anthony Minghella 2003)
南北戦争のピーターズバーグ包囲戦への言及
第一次世界大戦では通常のものになった塹壕線の先駆けとなり、
軍事史の中でも顕著な位置付けを与えられている。

イグノリアス・バスターInglourious Basterds (Quentin Trantino 2009)
ゲシュタポに両親を殺されたフランス娘が経営する映画館にかかっている映画
レニー・リーフェンシュタール主演
Die weiße Hölle vom Piz Palü

ドイツ占領下のパリ、であることを示す。

リーフェンシュタール:
ダンサー→山岳映画の初演女優→ナチ宣伝映画の監督
『意思の勝利』ニュールンベルクでのナチス党大会の映画
『オリンピア』ナチス政権下でのベルリンオリンピック記録映画
ベルリンオリンピックのための映画、というより、
ベルリンオリンピックはこの映画のためのオリンピックだったのでは、
とさえ言えるほど、この映画撮影のために大会・選手は協力させられている。

映画の持つ、ナショナリズムの宣伝の力、への言及となっている。

スターや著名人への言及

Dick Tracy (Warren Beaty 1990) 
Al Pacino演ずるBig Boy 
過去のギャングスター役とのかぶり


『ビリジット・ジョーンズの日記』
BBCのドラマ『偏見と高慢』に夢中の主人公
ダーシー役:コリン・フォース
作家がこのダーシー役から作中のマーク・ダーシーを構想。
マーク・ダーシー役を同じくコリン・フォースが演じている。
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by takumi429 | 2012-04-22 15:41 | 映画論 | Comments(0)

2 映画分析入門(つづき)

2 映画分析入門(5) http://youtu.be/ZxTTdkIQI4U

細部と構造  

並行と構造

並行しての配置は映画の最初と最後を比較させることで、
映画全体の構造についての情報を観客に与える。

『裏窓』(アルフレッド・ヒッチコック1954)
最初と最後 同じ場所を映す
二人の主人公が経験した大きな変化を伝える

転換点(turning points)
物語映画には、
はじまり、中間部、終わり、と
それへの転換点 がある。

監督はここが転換点だとわかるように
さまざまなしるしをつける。

40 Year Old Virgin (Judd Apatow 2005)
40歳の童貞男

女性客から電話番号をもらった主人公
初体験に向けて仲間と盛り上がる。
ズームとドーリーショット

In A Dream(Jeremiah Zagar 2008)
自身の作品であるモザイクの中を歩く主人公
創造の道を見つけて歩みだした芸術家
家庭問題を抱えてモザイクの城から出て行く主人公
主のいなくなったモザイク1
主のいなくなったモザイク2


すべての映画は、
転換点とくり返し(モチーフ)で
構造がつくられている。


反復と、時間順ではない構造

Night and Fog 夜と霧 (Alain Resnais アラン・レネ 1955)
(1), (2), (3)

ナチ時代:白黒
戦後:カラー
時間順にならべるのではなくて、
戦後のカラー映像を挟み込むことで
強烈な視覚的コントラストを生み出す。
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by takumi429 | 2012-04-22 11:34 | 映画論 | Comments(0)

2映画分析入門

2 映画分析入門(1)http://youtu.be/3mxz8PAv0jo
2 映画分析入門(2) http://youtu.be/EGgmeHvcnwc
2 映画分析入門(3) http://youtu.be/C-TKrik5HT4
2 映画分析入門(4) http://youtu.be/w0dW56Nf8eo

映画論の後、質問に来た方、間違えをおしえてしまいました。
渡り鳥を描いた映画の名前は、WATARIDORI、です。
英語の題名は、Winged Migration、です。

上映会:ヒッチコック『めまい』
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by takumi429 | 2012-04-16 11:21 | 映画論 | Comments(0)

1.映画分析へ導入

1.映画分析への導入
http://youtu.be/RprJaEcd2MI
名古屋市立大学の一般教養講義のスライド・ショー。
引用はすべて学術引用とさせて頂きます。

上映会:オーソン・ウェルズ『市民ケーン』

講義概要
授業の目的・概要
メディアは私たちの環境の一つとなっています。本講義では、そうしたメディアの一つである、映画を取り扱います。
「子供らしい無垢な心で思うまま書きましょう」、などという、たわけた作文教育のおかげで
無知なままに思いつきの作文(印象批評)することで事たれり、と思っている、ナイーブ(ばか)な段階を脱して、映画を分析的によりおもしろく見ることができるようになりましょう。

学習到達目標
印象批評を脱して、映画をその構造と技法にそくして分析・評論できるようになる。

授業概要
すぐれた映画論の教科書に即しながら、映画をより分析的により豊かに観ることを学ぶ。

授業計画
1.導入 映画分析へのアプローチ
2.映画について書く
3.語りの形式
4.ミザンセヌ(演出)
5.撮影
6.編集
7.音楽
8.ドキュメンタリーとアバンギャルド・フィルム
9.映画とイデオロギー
10.社会的文脈と映画のスタイル
11.文化現象としての映画スター
12.ジャンル
13.作家主義
14.産業としての映画
15.まとめ

教科書・テキスト
Maria Pramaggiore & Tom Wallis, Film: A Critical Introduction. Laurence King
(ISBN 978-1-85669-720-0)
和書では見られないすぐれた内容。オールカラーしては安価。

参考文献
高橋治『絢爛たる影絵 小津安二郎』 (岩波現代文庫)
日本語で書かれたもっともすぐれた映画監督論。講義では扱わないがぜひ読むことを勧める。

斉藤美奈子『文章読本さん江』(筑摩文庫)
なぜこんなにも印象批評(無知な思いつき作文)がはびこるのかを、作文教育の暴走から解明してくれる本。大学の講義一般を受ける前に読むことを勧める。
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by takumi429 | 2012-04-15 14:36 | 映画論 | Comments(0)