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8.ヒッチコック『めまい』

ヒッチコック『めまい』(1958)
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この映画をみて次の問いに答えなさい。

1)年輪のシーンは、前回観た『ラ・ジュテ』にも出てきましたが、何を意味しているのでしょうか。
2)映画を観るとき大事なのは、大上段なテーマとは主張ではなくて、繰り返し現れるモチーフとかパターンです。(それが映画の構造や主張を支えています)。この映画に繰り返されるモチーフとパターンは何でしょうか。
3)この映画では時間がどのようにとらえられているでしょうか。そのとらえ方は何によってもたらされたのでしょうか。またそれは繰り返されるモチーフやパターンとどう関係するのでしょうか。

さて答えるまえに、この映画の影響をもろに受けている映画を紹介しましょう。
1998年ドイツ映画『ラン・ローラ・ラン』です。
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この映画は同じ時間が三回繰り返されます。それは『めまい』が愛する女が塔から落ちるのを男が二度くりかえし見ることになる、というのと同じ構造です。
『めまい』に影響を受けていることを明らかにするために、映画のなかで絵を見ている巻き髪の金髪女性を登場させたり、ローラのでてくるテレビのなかのアニメーションで螺旋状の階段を、登場させたりしています。

さて私の回答は、
1)木の年輪は、フイルムのリール(巻いたもの)をイメージしている。
2)繰り返しでてくるのは、女の巻き髪、螺旋状の階段、(厳密に言うとうずではないけど)年輪、円形の宝石、渦巻く(めまいする)目、という渦巻くパターンです。これはすべてフィルムをイメージしたものです。
3)フィルムによって記録された時間は、さかのぼり反復可能な時間となります。さかのぼり反復可能となった時間の原因ともなった巻かれたフィルム(巻き上げられた時間)をイメージするために、巻き上げのパターンがくりかえしでてきたのです。そしてこの映画の「めまい」はそうしたフィルムによる時間の可逆と反復がもたらしたものなのです。

こうしたフィルム(映画)がもたらした可逆・反復の時間性を前面に押し出した映画を次に観ることにしましょう。
2000年クリストファー・ノーラン作『メメント
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by takumi429 | 2012-11-26 17:34 | 映画論 | Comments(0)

8.ラ・ジュテ 映画を成立させる観客の2つの構成的想像力

ラ・ジュテLa jetée(1962) クリス・マイケル脚本・監督
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静止画(スチール写真)だけで構成された短編SF映画。

この映画を観ることで、私たちは映画を構成している2つの原理に気づくことになる。

鑑賞者は1秒間に24枚の静止画の連続を観ている。それを連続的な動きとみている。

映画における二つの不連続
①カットのおける不連続 1秒間24枚の静止画
②シーンにおける不連続 カットとカットが接続される

映画を成立させる観客の構成的想像力
①カットにおける連続した運動を構成する想像力 (残像効果による運動の視覚的錯覚によるものと言われるが、近年はその説に疑問も呈されていて、むしろ観客の想像力によるものではないかとも言われている)。
②シーンにおけるカットとカットを同一の世界のものとして構成する想像力
①運動構成的想像力
②世界構成的想像力
とひとまず呼んでおこう。
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by takumi429 | 2012-11-12 14:36 | メディア環境論 | Comments(0)