人はできるなら自分のことは自分で世話して自分(の健康)を維持しています。この自己維持のメカニズムを単純な機械を例にして見てみましょう。
好例はエアコンです。エアコンは設定温度よりも室内の温度が上がると冷房が作動してその温度の上昇を打ち消します。温度が下がると暖房が働いて温度の低下を打ち消します。設定温度からのずれを打ち消すよう(ネガティブ)に自分(が設置された部屋)にもどってくるように働きかけて(フィードバック)、一定温度をまもります。 人間も血中の糖度が上がるとインシュリンが分泌されて糖度を下げ、血中糖度が下がるとアドレナリンを分泌して糖度を上げ、血中糖度を一定に保ちます。それ以外にもさまざまな生理的なネガティブ・フィードバックを用いて人間は生理的な自己を維持しています。この生理的維持の仕方を「生理的様式」と言います。
しかし、人間は生理的な自己だけではなく、人間としてその関係の中で自己というものを持っています。①自分にとっての自己、②大切な人にとっての自己、③社会の中の自己。それらを守り維持するのが、①「自己概念様式」、②「相互作用様式」、③「役割様式」です。 「自己概念」とは自分が自分に対して持っているイメージのことで、それを守るために人はさまざまな努力をします。また大切な人にとっての自分を維持するために、その人と相互作用をしていきます。また社会的な役割を演ずることで社会での自分というものを維持しています。 しかし病気になると、そうした、生理的な自己、自分にとっての自己、大切な人との関係における自己、社会的な自己を維持することはむずかしくなります。そうした時に患者の自己を支えるべく手助けするのが看護なのです。 近況:空梅雨のせいか、ここ名古屋は連日30度をこえ、私もすでに夏ばて状態です。「はじめての看護理論」を書いた、海風が吹くと涼しかった湘南の夏の日々がいまはただただ恋しいです。 参考文献:勝又正直 著『はじめての看護理論』医学書院
by takumi429
| 2009-01-06 15:53
| 看護理論
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