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医療社会学 第5回

システム理論を導入した看護理論

システムとはなにか?
カタカナ言葉に困ったときには、英英辞典を引こう。
system (Longman Dictionary of Conteemporary English)
1 a group of related parts that work together as a whole for particular purpose
2 an organized set of ideas, methods, way of working
オレムの「看護システム」の「システム」がこれ。
4 someone's body - used when your are talking about its medical or phytsical condition 人体を「システム」と呼ぶことがある。

1と2の定義から
①システムとは全体として働くもの
②何をシステムとみなすかの水準はさまざま
 人体、医療スタッフのような人のグループ、細胞(生存しようとする)、すべてシステム

システム理論の発想
①個々の要素に還元できない全体の性格がある
 例1:有名音楽バンドが解散して尻すぼみのソロ活動
 バンドにはここのメンバーからは説明できない「ケミストリー」(化学反応)があった。
 例2:拒食症の子のいる家族
 個々人には問題がないのに家族集団になると問題をかかえる。
 誰が悪い、のでもなく、誰のせいでもなく、めぐりめぐる因果の病理が拒食症として現れる
②個々の要素に還元できない性格をもつあらゆるものが、「システム」とみなすことができる。
③システム理論のモデル・チェンジ(システム理論の発展・進化)
 1)つり合い(均衡)のシステム理論
  力学的のつり合いをイメージ。
  需要と供給のつり合いによる価格決定
  男女のペア(保守的男性のイメージ)
   私(夫):外で働き家で食べる人 君(妻):家を守り料理を作る人 
   男性アナ:仕切り・コメントする 女性アナ:無知でかわいくふるまう 
 2)恒常性維持のシステム理論
  ①ホメオスタシス
  ②サイバネティクス
 3)自己組織化のシステム理論

ホメオスタシス
 生物の自己維持のはたらき
 例:血糖値の維持 
  血糖値低下→アドレナリン分泌→血糖値の上昇
  血糖値上昇→インシュリン分泌→血糖値の低下
サイバネティクス
 フィードバック(自分のしたことが自分にかえってくること)による自己制御(恒常性持)
 例:エアコン(設定温度の維持)
 室温上昇→冷房の作動→室温低下
 室温低下→暖房の作動→室温上昇

ロイの看護理論
 サイバネティクス理論の導入
 人間=サイバネティクスによるシステム
 適応:外界(環境)にこうして自己の恒常性を維持すること
  人間 生理的自己維持←調節機による適応反応
    心理社会的自己維持←認知機による適応反応

 心理社会的自己はどんな様式で現れるのか
 ①自己概念様式 
   私にとっての私
 ②役割様式
   彼らにとって私
 ③相互依存様式
   あなたにとっての私

病人:生理的のみならず社会心理的レベルでも自己を維持できなくなった人間
看護:病人の自己維持をバックアップする

自己概念については次回で詳しく紹介します。

課題
教科書pp.44-87を読んでください。
とくに家族システム、ロジャーズ看護論については割愛するので、ていねいに読んでください。
質問があったら、私のブログ「社会学しよう!」のコメント欄に書き込むか、次回の講義のあとにしてください。

by takumi429 | 2020-06-01 19:00
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