12.外部性の喪失としての近代
ウルリヒ・ベック『危険社会』(1986)の提言から 近代:産業社会industrial societyは、非産業世界(外部)を前提にしている。 絶えずあらたな産業化の対象(未開拓地)を必要とする。 1)自然環境 自然から資源を取り入れ、廃棄物を捨てている 2)男女の身分的な差別(家父長制)による家庭に労働者の再生産をさせている。 労働の再生産:疲れた労働者が元気になる+新たな労働者の生産(再生産) 3)科学の専門化。政治と科学の分化 再帰的近代:危険社会 外部性の喪失=再帰的近代化(reflexive modernization) 開拓していくべき新たな領域は失われた。 1)廃棄物を捨てることができる余地がもはやなく、廃棄物は環境汚染という形で社会へ跳ね返ってくる。 「危険」:人間社会がもたらしたリスク。外的環境からの危険とは異なる。 富の分配でなく危険の分配が問題となってくる。 危険を認知するために科学に依存する。 2)産業社会の個人化が家庭にまでおよび、家庭はもはや安定した役割分業の世界ではなくなってくる。 失業という危険が人々を個人化する。階級が非現実化する。 女性の教育水準の上昇、労働市場への進出、離婚の増大→核家族(身分的性別役割分業)の解体 3)科学がみずから危険を生産するものとなると、科学は外に対象を見いだす段階から自らが生み出した帰結に対処しなくてならなくなる。 科学のサブ政治化。議会制民主主義では対応しきれない。市民運動などのサブ政治で対応する必要。 岩井克人の資本主義論 遠隔地貿易:交換比率のちがう地域間での貿易 産業資本主義:市場と工場内での労働と貨幣の交換比率の差を使った利潤をあげる 技術革新型資本主義:未来の技術による労働と生産の比率の違いによって利潤をあげる 資本主義とは差異によって作動している。いわば温度差を利用して動く熱機関。 現代において生じているのは差異の喪失。「熱死」の状態。 あらたな差異をどこに見つけていくのか。差異の創出
by takumi429
| 2006-01-29 21:44
| 社会学入門
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